復刊への想い

橋梁年報復刊のお知らせ並びに御購読及び広告掲載の御願い

「橋」橋梁年報を次世代に残すため

前略、現在橋梁年報は休刊をやむなくされておりますが、昭和46年に発刊された第1号に記載された、土木学会田中賞設立の趣旨と本年報発刊の目的を紹介いたします。

 

橋梁・構造学界の権威者、故 田中 豊博士(日本学士院会員東京大学名誉教授)は、昭和39年8月27日76才をもって逝去されたが、博士が生前に残された偉業は、文字どおり日本の橋梁界、鋼構造界の育ての親と呼ばれるにふさわしいものであった。

博士逝去後、ご遺族から斯界振興の一助にもと金100万円の御寄付が土木学会になされ、一方、有志の間には博士の功績をしのび、これを記念する事業を企ててはとの申し出があり、昭和40年「田中豊博士記念事業会(会長 内海清温博士)」が発足した。その結果、個人1227名、団体116より総額1000万円、それに前記のご寄附を加え1146万5950円の基金がつくられた。同記念事業会はこれを土木学会に寄付し、学会では記念事業として、橋梁・構造工学に関する優秀な業績に対し毎年「土木学会田中賞」を授与することとなった。

すなわち昭和41年度より土木学会賞の一つとして田中賞が発足したのである。

田中賞の内容は下記の二部門より成り立っている。

(1)論文部門・・・橋梁およびその他の構造物に関する優秀な研究成果を対象とし、公刊された論文の中から選ばれる。

(2)作品部門・・・橋梁およびそれに関連ある構造物で、計画・設計・施工・美観などの面においてすぐれた特色を有すると認められ、日本人の手により設計、施工あるいは計画されたものを対象とし、次の各グループについて選考する。

a 長大橋梁 b 中小橋梁 c その他特殊橋梁および橋梁に関連ある構造

このうち特に作品部門は、橋梁が多くの人びとの協同作業の成果であるので、受賞対象は企業者、設計者、施工者などという組織あるいは特定の個人ではなく、あくまで作品そのものである点、従来の土木学会賞と異なる特色を持っている。これら受賞作品はもちろん各年度の土木学会総会において発表され、土木学会誌にも紹介されるが、選考候補にのぼった諸構造物は、その年度の日本橋梁界を代表するものと考えられるので、それらの内容を記し、我が国橋梁界のすう勢を後世に長く残すため、ここに田中賞受賞作品および候補作品を中心にして本年報が発刊されることとなった。編集には土木学会橋梁構造委員会の下に設けられた橋梁年報編集小委員会が当たっている。以上第1号原文のまま記載。

 

このような経緯の書籍も、「橋」の計画、設計、製作、施工を取り巻く環境及び土木学会自体の財政の問題により2007―2008版を最後に、休刊となっておりましたが、「橋」は社会基盤の一つとして地域に密着した土木構造の一つであり、先人技術者の努力と精進と共に、現時点でも設計・製作・架設及び維持管理の分野で新技術・新工法の開発の努力が続けられており、これらの成果を紹介し記録書として残すことは非常に意義があります。

また橋梁技術者及び土木関係者の資料、写真集としても最適と考えており、構造工学委員会の総意として「次世代へ残したい資料である」との認識になっております。

これらの意義を十分理解する、「委託出版」先として「土木施工」を出版している、㈱オフィス・スペースを選定し、出版を継続することとなりました。今回書籍の体裁として、従来どおりハードカバーとし、お手元での資料集として長期間にわたって御使用いただけるよう編集努力をいたし、価格も、5,000円(税別、送料別)といたしました。

土木関係者の皆様には、厳しい時代ではありますが、歴史ある、橋梁年報を次世代へ引き継ぐ為にも多方面に渡る購入、広告掲載を是非ともお願いいたします。

草々

土木学会 第16代構造工学委員長 藤野 陽三

第17代構造工学委員長 石橋 忠良

第18代構造工学委員長 古田 均

第19代構造工学委員長 鈴木 基行

第20代構造工学委員長 日野 伸一

 

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